天井裏より愛をこめて①

  • 2015-1-5


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 「ある日、映写室の奥の小部屋から不気味な声が聞こえたんです…それで、恐る恐るその小部屋を覗き込んだんですが誰もいなくて…怖いから、きっと気のせいだったんだ、そうに違いないと自分に言い聞かせてその場を立ち去ろうとしたんです…そしたら急に天井裏からビューって風が吹いてきたもんだから、もう腰が抜けるかと思いましたよ…」

そう語るのは第一発見者の男性だ。昨年11月の事だった。

天井裏に何かがいる、その噂は劇場内に知れ渡り、ついに天井裏調査チームが結成された。

命知らずの男たちが、未知の天井裏に乗り込んだ…その直後!

「隊長大変です!天井裏は…天井裏は未知の映画ポスターに占拠されています!」

「なにぃ、しまった!それは罠だ!きっと化け物が映画ポスターに変化しているに違いない!」

「化け物が映画ポスターに!?では、この映画ポスターに手を出せば我々はどうなるのでしょうか?」

「うむ、きっと映画ポスターの色鮮やかさ、妖艶さ、愉快さにたぶらかされて、腑抜けになってしまうに違いない」

「そ、そんな…しかし隊長、どうやら自分は既にこのポスターの山に魅了されてしまったようです…申し訳ございません!」

隊員Aはポスターに触れた途端、何やら不可解な叫び声を上げながら天井裏の暗闇の中へと消えた…。

するとどうだろうか…後に残された映画ポスターの山からは、邪悪な気が消え去っているではないか。

「隊員A…アイツ、俺たちのためにワザと化け物に取りつかれたのか…」

こうして隊員Aの犠牲のおかげで、調査隊員たちは山ほどの映画ポスターを持って帰ったという。

劇場の住民たちは隊員Aをいつまでも忘れないために劇場前に隊員Aに似せた雪だるまを作ったそうだ。

              ~秋田県大館市に伝わる民話~

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これが天井裏より発掘された映画ポスター

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 この映画ポスターの山に挑み、命を落とす者も少なくないという

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