- 2015-2-21
事件の発端はこうでした。
御成座の住人が以前屋根裏から引っ張り出した、ほこりまみれの荷物を片付けていた時の事です。
さわるだけで手がまっ黒になりそうな荷物の中に、1本のビール瓶がありました。
「どーれ、こいつをキレイにしてみようか」
住人は濡れた雑巾で瓶をふきました。
すると出てきたのは…
じゃーん!男は黙ってってやつですね。
出てきたラベルを見ると1950年代~60年代の瓶のようです。
次に瓶の中も水で洗いました。
外だけキレイで中はまっ黒じゃおかしいですからね。
しかしあれあれ、中にまだゴミがこびりついていますよ。
瓶をふってもなかなか取れません。
そこで中に針金を入れてこびりつきをひっかけます。
するとどうでしょう、中から出てきたのは…
じゃーん!
エ、エイリアン…か何かでしょうか?
そのままスルスルと引っ張り出すと…
「おめでとうございます!元気な男の子です!」
って待ってください…これは一体…?
「あ!お母さん頑張って!ホラ、もうひとり生まれますよ!」
じゃーん!
じゃーん!!!!
じゃじゃじゃじゃーん!!!!
瓶から生まれたのは、およそ60年前のミイラでした。
いや~・・・これは一体…
「そういえば、聞いたことがある…」
御成座の住人は劇場に伝わる古い言い伝えを思い出していました。
昔、アメリカ産のネズミのキャラクターが人気を博していた頃に
御成座でもそれを真似て宣伝用に2匹のネズミを飼っていたそうです。
しかし、来る日も来る日もお客に愛想をふりまくことを強要され…
次第に2匹は疲れ果ててしまったそうです。
そして彼らはある日御成座からの逃亡を企てます。
御成座の住民が寝静まったその隙をついて
あらかじめ檻の床に開けていた抜け穴から脱出したのです。
ところが…2匹の逃亡をあらかじめ予測していた御成座は
なんと檻の周りにネズミセンサーを仕掛けていたのです。
鳴り響く警報。2匹は必至で逃げます。
だがしかし、ついには映写室に追い込まれ、もう逃げ場はありません。
「フハハ観念したかネズ公!文字通り袋のネズミだな」
御成座の住民が映写室に踏み込んだ…その時!
信じられない事に…映写室はもぬけの殻だったのです。
どこを探しても2匹の姿はありません。
飲みかけのビール瓶がいくつかありましたが
住民たちはそんな場所を探したりはしませんでした。
やがて2匹を探し疲れた住人たちは
「彼らはきっとどこか広大な大地で平和にのびのびと暮らしているのだろう」
と、2匹を追うことをあきらめました。
その後、御成座では新たなネズミを飼うことをあきらめ
代わりに誰からも愛されるウサギを飼うことにしたと言います。
「そうだったのか…その時の2匹が…」
時を経てこうして見つかったみっきーとみにーのミイラを前に
「この過ちを繰り返してはいけない…」と心に誓う御成座の住人たちでした。
*現在の御成座ではネズミは飼育しておりません。