さよなら絵看板

  • 2015-2-24


その日もいつも通りの朝だった。

変わらぬクラスメイト、騒がしい教室。

いつも通りのの朝礼の最後に、先生が淋しそうな顔でこう告げた。

「今日は皆さんにお知らせがあります…。

絵看板のウエストサイド物語くんが、ご両親の仕事の都合で転校することなりました」

ざわつくクラスメイトたちは驚いて顔を見合わせる。

いつもは目立たないひとりの女子が声をあげて泣き出した。きっと彼の事が好きだったのだろう。

別れはいつだって突然やってくる。

まさか、あのクラスの人気者が転校してしまうなんて…。

「今日はウエストサイド物語くんのお別れ会だ。さあ、みんな体育館に移動しよう」

 

ビンゴゲームにカラオケ大会、そして先生とっておきのかくし芸。

別れを惜しむ最後のひと時を楽しもうと、お別れ会は盛大に盛り上がった。

そして最後に、ウエストサイド物語からのみんなへの挨拶が行われた。

4222854_2139766466_26large

 「御成座学園に転入してきてたった一か月の間だったけど、みんなのおかげで楽しい時間が過ごせました。

転校するのは淋しいけど、でもこれはもう仕方がないんだ…」

 4222854_2139766467_210large

「転校して行ってもみんなの事は忘れないよ!感謝の気持ちを込めて…最後に…踊ります!」

そう言うとウエストサイド物語は足を高く上げ、お馴染みのポーズで勢いよく踊り出した。

「忘れないでくれよな…俺たちのこと!」

会場のボルテージは、いま、最高潮となった。

忘れないさ…きっと、きっといつまでも忘れないさ!

クラスの皆の心にきらめく素敵な思い出を残して…彼は去って行った。

 

翌日、御成座学園の片すみに、まだ何も描かれていない見知らぬ絵看板が2枚たたずんでいた。

4222854_2139815243_211large

新しい転入生だろうか?いや、でも…どこかで会った気もする。

彼らを目にする生徒たちは、何故だか不思議な既視感にとらわれるのだった。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2026年3月
« 2月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

TWITTER

ページ上部へ戻る
Top